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「患者・家族・医療者のコミュニケーション」 

米澤さん その2

今回は昨年のパールリボンキャラバン2018の記録です。
2018年は後半に全国統一のテーマがありました。

それが「患者・家族・医療者とのコミュニケーション」
 
患者ー家族
患者―医療者
家族ー医療者
 
と、いろいろなコミュニケーションがあり、みんな向き合っています。
その体験談を披露してもらいました
 
まずは
米澤さんの講演です。2回目。

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5つ目の治療中に大切にしていた事を

一番はいままでの生活をするという事でした。主人は今までの生活に治療が増えただけとよく言っていました。先生と主人が相談して決めたのが職場近くの病院でした。主人には仕事を辞めるという選択肢はなかったように思います。そして今まで通り週末には孫たちがやってきて過ごすという事も変えませんでした。それともう一つ主人が決めていたのが高いお金を出さないといけない治療はしないという事でした。標準治療なんて言う言葉も知りませんでしたが、先生が勧める治療でいいと。主人がどうしたいかという事が分って私も主人との向き合い方が決まったように思います。

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最後の項目になりましたが、最期の時の事を

2014年2月から2年1カ月抗がん剤治療をフィフスライン行い使える薬がなくなって無治療になりました。転移と違って先生からも折に触れ聞いていましたので、とうとうやってきたかという感じでした。主人も無治療になることについて異存はありませんでした。元々会話の多い夫婦だったと思いますが、治療が始まった頃「病院の夜は長くて、飛び降りたい様な気持ちになる。病院の窓ってよくできているよね」って言ったことがあります。そんな事を言ったのはその一度だけでしたが、その言葉を聞いた時に最後は家で在宅でと決めていました。子供達には相談していましたが、主人には話していませんでした。主人はびっくりしたようでしたが嬉しそうでした。病院も無治療になったから繋がりが切れるわけではないからと次の予約を入れて下さり、こうしておくと何かあった時に入院が出来るからという事でした。この何かあった時というのは主人に何かあった時ではなく私に体力的、精神的に何かあった時の為だと言われました。無治療になったら放り出されたなんて話も聞いていましたので病院には感謝の気持ちでいっぱいでした。先生とのコミュニケーションは上手くいっていたように思います。呼吸器内科・腫瘍内科・放射線科の先生方が関わって下さっていました。

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在宅になってからの方が主人に言えないことが増えてきたように思います。一つは私の為の予約だという事。ずっと私の身体の事を心配していましたので、心配事を増やすような気がして言えませんでした。もう一つ言えなかったことが在宅でお世話になった先生に1~2カ月と言われたことです。在宅になる前から本当にいろんな話をしました。自分でもわかっていただろうと思うのであえて言いませんでしたが主人の会いたい人を聞いて会いに来ていただきました。いろんな話をしていたお陰で主人が亡くなった後で困ることは少なかったです。

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私が経験してきた中で思う事は、立場が違うからわかってもらえないと考えるのではなく、だからこそ話をすることが大事。元気な時だからこそ話せることがある。お互いを思いやって後悔することのないように。この3つです。

 

後悔していることを考えた時に、闘病生活で後悔していることはありません。今年の春まではセデーションの事が心に引っかかっていました。主人は最後まで話が出来ましたので自分でセデーションの日を決めました。もちろん私にもどう思うかと尋ねました。私は「思うようにしたらいいと思っている」と答えました。数日前から主人の口からそれまで口にしなかった「つらい」という言葉が出てきていました。私が嫌だと言ったらもう少しでも長く生きていたのかもしれないとずっと考えていました。セデーションについての話を聞く機会があり本人の意思が一番大切だとお聞きし自分で選べた主人は幸せだったと良かったと思えるようになりました。後悔は主人も勧めもあってまた働いていましたが、後任の人が見つからずに在宅にある前に辞めることができなかった事と、肺がんと煙草が結びついていなかった事の二つが私にとっての後悔です。病気になってからの2年3ヶ月主人とは本当にいろんな話をしました。大切な時間になっています。いろんな話をしながらいろんな覚悟をしていく時間でもありました。言わなくてもわかるだろうではなくしっかりと話をすることで主人がどう生きたかったのかも分かりましたし、主人が亡くなった後の気持ちも違っていたのではないかと思います。

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最後にご家庭によって、性格によって違うと思います。一つの事例として聞いていただいて、思いやりすぎてすれ違う事のないように過ごして頂けたらと思います。ご清聴ありがとうございました。

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