「もう治療法がありません」と言われたら・・・⑧

肺がん8年生MIRAさんが言われた

「もう治療法はありません。あとは緩和ケアに行ってください」

患者はこの言葉をどう受け止めたらいいのでしょう。


もっと言えば、「抗がん剤治療をやめる時」はいつか来る。ならば、患者はどう考えたらいいのでしょう?
そんなことを考えようと始まったこの企画。


★MIRAさんのインタビューはこちら♪



ピアサポーターよこはまの武岡ひとみさんにお話を伺っています。
その2回目。
今回はテーマに関してではなく、ピアサポーターに関してのいろいろなお話をお届けします。私の力量不足で、箇条書きみたいになっています・・・。

■そもそもピアサポートしようと思ったきっかけは・・・

 

これはもう私自身の体験からなんです。
病院に入院している時には、病状の不安や疑問は看護師さんや医師に直接相談できました。何か動けなくて困ったことがあればピッとナースコールを押しただけで来てくれた。

でも退院したら違う。退院したその日の夜から不安でした。そんな完全に良い状態で退院しているわけではないです。自分のことをすべて自分でできる状態で退院してないから。例えば、胸を手術して、まだガーゼを貼っている状態なんだけど、明日買い物に出るときに下着はどうしたらいいんでしょう?みたいなこと。退院したその時点で「現実」が待っているわけです。

だから、退院後もナースコールのようなものが欲しいと思いました。今こんな状態なんですけどもってどこかに電話して、具体的にアドバイスをくれるところがあればいいなと思ったのがきっかけです。

 


■「地域で活動する」その意味


ピアサポートは「病院の中」で行われる場合と、「地域」(街の中のビルの一室など)で行われる場合があります。退院後「地域に戻ってからの生活が大変だ」と感じた武岡さんですから、活動は「地域」で行っています。その理由は他にもいろいろあるそうです。

 

がん患者がこれだけ増えてきている。3人に1人、2人に1人と言われているこの状況の中で、それをサポートする受け皿がないというのはおかしな話じゃないかなと思うんです。
高齢のがん患者なら介護保険で受け皿がありますよね。地域の支援センターとか。じゃあ一番社会保険料を納めているはたらき盛りの人が地域に戻った時に、なぜ何のサービスも使えないんでしょう?
病院の外来でヘルパーさんにつき添われている高齢の患者さんを眺めながら、私が体調悪いときにはなぜ付き添いはつかないんだろう?私の方が体調悪いのになって。それはすごく不条理に感じました。

だから自分がピアサポートをするのだったら、私はずっと地域にこだわってやって行こうと、そう思いましたね。

それと地域にピアサポートがあることで、その存在を地域が認めるところとなる。がんの啓蒙にもつながるんじゃないかなと。だから理想は気楽に使ってもらうことなんです。「このしこり、ちょっと気になる。あそこにあるから聞いてみよう」とかね・・・それがこちらの望むことですね。

 

 

「地域で活動する理由」続きます。

武岡さんは「医療者と患者は、日本ではまだ対等な立場には立てていない」と常々感じているそうです。そこをすくいあげることも地域で活動する理由なのだとか。



患者さんの中で、医療者との関係に悩みを抱えて人もいます。その場合、病院の中では言い切れない部分があるから私たちがいますというところもあります。

 病院の中でのピアサポートを私もやってきましたけど、やはり病院の中というだけで遠慮して本音を言ってもらえないところがある。せっかくピアサポート来てもらったのに、不完全燃焼という形で終わってしまうことがあるんです。

皆さん気になるのは、診察の時間が短い。だから何も伝えられない。あるいは、先生に言われたことを一方的に鵜呑みにしなければならない。ドクハラじゃないですけど、先生にひどい事を言われる場合だってある。でも病院の中だとそういう事は言えないって。私に話したことで、私から先生につながっちゃうんじゃないかと思って言えなくなる。

でもそれが「地域」であれば誰にも言わないわよという前提です。私たちは病院の名前・先生の名前も聞きません。だから、吐き出せる場になるんじゃないかって。

私たちの側も、そこ言いたいなと思うんだけれども、病院の中では言えませんという場合があります。「そういうことは先生にすこしは言ったほうがいいですよ」って、そのくらいで止めてしまっている。でも地域であれば「それは当然患者として言っていい権利なんです」と背中を押してあげることができるんです。

 

 

 
■余談ですが・・・


病院でピアサポートすることもあるという武岡さん。

「今、主治医にもう治療法がありませんと言われました」
と来る患者さんで、同じ部位の患者さんばかりということがあったそう。
「この病院の○○科には平気で患者に治療法がないという医師がいるな。」
とつかんでしまったそうです。

 


■ピアサポート相談件数第3位は・・・


前回、相談内容の多いものを紹介していただきました。

1位は「漠然とした不安・・・私これからどうなっちゃうんでしょうか?」

2位は副作用に関して。

3位は・・・紹介していませんでした。文章の流れ上、紹介できなくなってしまい、ここでご紹介します。

相談内容で3番目に多いのは、「家族や社会環境について」だそう。

例えば、就労の問題です。社会復帰する時、会社の上司・部下、どこまで病気のことを公開すればいいのか?

例えば、子供のこと。「どうやって伝えたらいいのか?」「どこまで伝えたらいいのか?」などなど

たしかに、どうしたらいいのか悩む問題ですね。

 



■印象に残る相談


終末期の在宅医療されている方からの電話で、相談ではなく、雑談だけする場合があるそうです。

例えば、あるタクシーの運転手さん。道についての話をしたそうです。道って道路のことね。「ああ、あそこの交差点を渡るとお地蔵さんがあるんだよね」「そうそう」とか。

例えば、ある主婦の場合。「今主人は会社でね、子供は学校行っているの。」と、たわいもない話をしたそうです。

ただ、共通していることがありました。

「一人でいるとき」に電話かけてくることです。時間も決まっていて、だいたい午後2時頃だそう。そして、病気の話はしない。相談ではなく、とりとめのない会話をする。

このような電話を何件か受けるうちに、武岡さんは確信したそうです。

もうすぐ・・・と悟ると、人はもう病気の話はしない。そして、誰かと話していたい、そういう時がある。

相手は一人で天井を見ながら、誰かと話したくて電話をかけてきている。ならばその話し相手になる。そして、そのままたわいもない話をして終わるそうです。

 



■最後に活動をご紹介

「よこはまピアサポート」 045-681-5255  
水・金曜 10:00~14:30 (電話相談・面談)
第2・第4月曜(予約面談)※電話予約

だそうです。悩みや不安を気軽に相談してください、とのことです。

※ピアサポートよこはまのフェイスブックページはこちら

 

今回はここまで。

 

さて次回は・・・

「もう治療法はありません」と言われ、相談に来た件数は、19件あります。
その中で「抗がん剤をやりません」といって帰られた方が3人いるそうです。
そのお話を聞きました。