「もう治療法はありません」と言われたら…⑤

前回の続きです。


今回お話を聞いているのは平和病院院長であり、緩和ケア科を担当する高橋修先生。

平和病院は、神奈川県横浜市鶴見区にあり、16床の緩和ケア病棟を軸に、緩和ケア外来、訪問診療を行います。がん拠点病院の中にある緩和ケアではありません。

※平和病院のフェイスブックはこちら


今回のお話しは、「緩和ケアの地域性」についてです。


地域性ですよ。地域性。

えっ、なんですか、地味ですか?

もっとこう、ぐいぐいくるような言い回しあるでしょ、ですか?

うーん・・・確かに言葉は地味(笑)

でも知らないことが世の中にはいろいろありますよ。というか、読んでみると「へえー」と思うよ、きっと。

掲げているテーマと違うのでは?との思いもありますが、結局つながる。どうぞ~。

 

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緩和ケアの地域性・・・地域性ってなに?と皆さん思われたことでしょう。

読んで字のごとくですが、緩和ケアってどうも地域で特色がある、というか、異なっているみたいです。そんな話を高橋先生はしてくれました。

 

で、地域性を説明する前に、

そもそも、時代の流れとして「病院のあり方・患者をどう支えるか」が変わっているようです。まずはそこから説明したいと思います。

 

以前はこんな感じ。ひとつの病院の中で完結する。

今はこう。

一言で言うと、「分業」ですね。

 


患者さんには大きな病院、大病院志向がありますから。そこを見てもらいたいというは、わかるんです。ただ今の時代は違う。私が医者になった時代は手術からそれこそお別れするまで自分で診るんですけども。
今の時代はそうではなくて、地域の中で治療を得意とする病院。或いは、緊急の状態に対応する病院。うちのように、辛さを取ることを専門とする病院。或いは在宅の先生たち。在宅は、先生だけではなくて、訪問看護師さんもヘルパーさんもいます。地域の中で患者さんを支える体制になっています。


 

なるほど。今の時代は、この三角形の図をうまく機能させて、患者さんを「地域で支えていこう」ということですね。なんとなくわかります。

 

でもこの三角形・・・「言うは易し、行うは難し」なのだそうです。



高橋先生によれば、この三角形がちゃんと機能するためには、3つのポイントがあるといいます。


1 緩和ケア施設が外来もやり、24時間365日対応

 

緩和ケアの病床数は、そもそも少ないといわれています。神奈川県では300床ほど。この病院が外来をやり、緊急も対応する24時間365日対応かというと、そうでもないそうです。

 

患者さんが困った時は逃げ場所がないといけない。必ず受け入れるという施設がないといけない。365日24時間何があってもお願いした患者さんを受けるという体制を整えておかないと。結局はどこに行けばいいのかわからないということになってしまう。救急の所に運ばれてしまうということになるわけです。

 

 

 

2 在宅医療スタッフの力(ちから)

 

こういうことをうまく行かせるためには、在宅の先生方がレベルアップしているということと、在宅を支える看護スタッフ、介護スタッフがある程度の緩和力を身につけてないといけない。

例えば在宅のスタッフががんの患者さんの家に行くと困ることがあるわけです。どうすればその患者さんやご家族に対応できるか、知識力、介護力、緩和力、そういうのを身につけないといけない。

ここら辺では3年前から在宅のケアスタッフ向けの緩和ケアスキルアップ研修を私がやってるんです。年6回コースで、初級編、中級編とか。そこで在宅スタッフに緩和ケアとは何なのか、どういうことに注意しなければいけないのかそういうことをやって、もう180人ぐらいの方が講習を受けています。そしてそれをまた自分の事業所で伝えればいいわけですから。そこはここら辺の地域の恵まれているところかも。

 

 

3 マネジメント

 

ちょっとこれ、難しい。説明は2段階に分かれます。

 

まずは病院の役割分担をどうマネジメントするかという話

 

「どこの施設がどこまで責任を持つか?その地域の中での役割を分担し、どう体制を構築するか」っていうのを、それぞれの地域の中でやれなければいけない。それが多少オーバーラップしても患者さんにとっては一番ハッピーな状況になるわけですけども、なかなかそれが全国的にというとどうなのかな?誰がそれをマネジメントするのかということです。

 

 

続いて、役割分担された情報がきちんとマネジメントされて、患者に届くかどうか?

 

その地域の中で、医療の流れがどうなっているのか、情報を把握していてそれを患者さんのご家族にタイムリーに伝えられるかということにかかっているわけですね。

 

例えば、がん拠点病院。その周りの在宅の先生方を把握してるか、ということ。がん拠点病院はいつもベットがいっぱいですから。そんなに受け入れられないわけです。受け入れたってそんなに長くは患者さんは入院できないですから。じゃあそのあとどうするんだ。という連携力。マネージメント力ががん拠点病院にどれくらいあるのか。ということによって、患者さんが苦労されるか安心して過ごせるかというのが決まってくると思うんです。


 

ちなみに、高橋先生がいる平和病院は、横浜市鶴見区にあります。この地区はマネジメントが比較的うまくいっているところだといいます。

鶴見区の医師会の在宅部門が結構一生懸命やってるんです。がんの診療ですとか。緩和ケアに関してだとか。鶴見区の医師会には「さわやか相談室」というのがありますけど、がんの患者さんだけでなく脳梗塞の患者さんがおうちで大変な状態になっちゃった。どうすればいいんだ?というよろず相談をケアマネージャーの資格を持った看護師が対応することにしているんです。ですからそこである程度マネジメント力も医師会が持っていますので、この地域はそれでうまく回ってるというのがあります。

 


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