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「もう治療法はありません」と言われたら…④

前回の続きです。


「もう治療法はありません」「緩和ケアへ行ってください」などなど

言葉はどうであれ、進行がんの患者には、抗がん剤治療をやめるときがいつかやってきます。そのときのショックは計り知れないものがありますよ。心穏やかな人などいないと思います。


今回お話を聞いているのは神奈川県横浜市にある平和病院の院長であり、緩和ケア科を担当する高橋修先生。

高橋先生はそのショックを少しでも和らげるため、ある手法をとっているとのことでした。

 

 

ここの地域、またはここの病院の特徴かもしれないですけども、ここにくる患者さんの一番の紹介もとは済生会横浜市東部病院(平和病院と同じ地域にあるがん拠点病院)からの紹介なんですね。この病院の先生がたには、私が緩和ケアを始めた時から、「早期に診させてください、一緒に診させてください」と口を酸っぱくして言ってます。だからファーストライン、セカンドラインのあたりから済生会横浜市東部病院の先生は送ってくださるんです。「併診」という形をとり、済生会横浜市東部病院で治療をして、うちの外来にも通っていただくという人がほとんどなんです。大部分。

 


おっ、これは、「治療早期から緩和ケア」ってやつですね。前回の日本医科大学の勝俣先生もこの話しをしていました。

 

実は私も肺がんになっていますので、その時のショックだとか辛さはわかっています。がんと診断されたとき、その時から辛いわけです。がんかどうかわからないときだって辛いです。でも治療の先生方はまず病気を治療しようとしてまず病気をみますから。それは当然のことなので。だから寄り添っていく誰かかいなければいけないです。

お話をして気持ちの辛さを聞いたりだとか、或いは臨床心理士をつけたりしています。

 

厳しい状態になったとしても、治療の早期から緩和ケアを受診してくだされば、だってもう私と会っているわけですから。コミュニケーションがとれているし、ご家族とも会っています。じゃあ入院だねとなってもいつも外来で診ている医者が来るわけですから。そこに全く何の違和感もありません。


 


これ、最初から主治医が2人いるという話ですね。

「治療」を担当する先生と、「支える」先生の2人がいる。

こういうことであれば、抗がん剤治療をやめるときの「不安・戸惑い」は少なくなる気がします。私・さくえもんは、単純で、説得力ある話だなと感じました。みなさんはどうでしょう。

 



さらにもう一点、早期の緩和ケアを勧める理由があるといいます。

今までと視点がガラリと変わります。

 

一度私達のところに来ていただいた患者さんは24時間365日対応するんです。だが、がんの治療をする先生が早い時期に紹介していただかないと・・・うーん、例えば紹介状が来ても、私が初めて患者さんやご家族にお会いする前に、具合が悪くなってしまう方もいないわけではない。そうするとその時に紹介状はあるんだけれども診てくださいませんかという電話がたまにかかってくるんです。
でもそれをやっちゃうと、ぎりぎりのところで待っている患者さんの順番だとかそこら辺がごちゃごちゃになっちゃうので収拾つかなくなってしまうんです。なので申しわけないんですけど,救急の時は今かかっている病院に行ってくださいと、そうお願いしているというのが現実です。
だから、早いうちに紹介していただければ、そんなことはなくなります。外来にきてお話して、治療はどうですかとか、お元気そうですね、とか お話してですね、じゃあまた1ヶ月後に予約とりましょうねと言って、何年にも渡って診ている人はいっぱいいるわけです。その人が悪くなれば、いつだって受けるわけですから。そういうのもあって早く紹介してくださいというのがあります。


 

ただ先生によっては、まだ緩和ケアはいいじゃないかという方がいらっしゃるんです。この前も一人患者さんからキャンセルがあって、今かかっている在宅の先生から、あなたは緩和ケアなんてまだ早いから行かなくていいですといわれて、キャンセルになったんです。その患者さんを在宅の先生が責任をもって確実に診てくだされば何の問題はないわけですけれども、こちらとしては本当にそれで大丈夫なのかという心配があるわけで。そう言わずに来てくださいよと言うわけにもいかないですから。しょうがない。そのままになっちゃいましたけども。まあ気になってますよね。

 

だからそれを啓蒙するのは私たちが啓蒙するよりも、がん拠点病院が患者さんに対して緩和ケアのイメージを変えていただく必要があるんですね。だから東部病院には、それをお願いして、近々そういう啓蒙活動をすると言っていたので、それはありがたいなと思っているんです。

 



今回はここまで。続きます。

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