「治験」てなに?⑤

患者向け治験検索サイトを実際使ってみる

みなさん こんにちは

「治験ってなに?」シリーズです。今回のテーマは「治験情報を取りに行ってみたら」です。




本題に入る前に・・・

最近、治験に関して、腹に落ちた言葉に出会いました。それをまず紹介します。NCI(アメリカ国立がん研究所)の武部直子医師の言葉です。




「治験は未来の患者のためという意味合いが知られているが、遺伝子レベルで細分化が進んだ領域では、研究と治療は同時に進むものだ。患者の利益であることは明らか。」




一字一句正確ではないんだけれども、こういう意味合いでした。肺がんの状況を当てはめてみましょう。




▼EGFR
タグリッソがファーストラインで成績をあげている。もうすぐ、EGFRの標準治療が大きく変わるかもしれないですね。



▼ALK
ALKの方とROS1の方に効くというPF-06463922(Lorlatinib)。脳の関門を突破し、クリゾチニブ、アレクチニブ、セリチニブによって発生するALK抵抗性変異にも効く。ちょうど今グローバル試験やっていてフェーズ2。



▼免疫チェックポイント阻害剤
ペンブロリズマブ(キートルーダ)は標準治療との対決を制しました。その結果が明らかなので、治験を途中で中止するという事態です。オプジーボとヤーボイも単剤と比較して大きな差があるようです




全部、保険適応ではありません。研究中です。でも公表されている成績を見る限り、先ほどの「研究と治療は同時に進むもの」という言葉が浮かんできます。「そうだな」とうなずきます。皆さんはどうですか?(何べんも言いますがリスクもある)




問題はここからです。



「この治験に自分は入れる(た)のかどうか・・・?」



多くの方はこれらの治験をしていないと思いますが、それは、自分で「しない」と決めたからでしょうか?違いますよね。



この薬にたどり着ける人たちはどういう人か考えてみます。すぐに条件が出てきました。



・いわゆる大きな病院に通っていること。
・自分の薬をチェンジするとき、たまたま治験が走っていたこと



前から言っている通り、自分で選択できる感じがしません。受け身の状態。選択肢を与えてもらっていない感じがします。



こんな情報もあります。



▼ROS1
今年1月から、「人道的見地からの拡大治験」という制度が始まっているのをご存知でしょうか?治験の条件に合わない人、募集期間が合わないなど、漏れてしまう人はたくさんいます、その救済策としてできた制度。ROS1におけるクリゾチニブは19,4か月のPFS(無増悪生存期間)が出ています。ですが、現在治験は募集していなかったと思います。となると、クリゾチニブはまだ保険適応ではありませんので、効果があるとわかりながら「使えない」という事態が起こっています。それを解消する制度です。ROS1患者へのクリゾチニブは、現在、この制度によって申し込めば使用できる可能性が高いです。

(※詳しい人いますか~。教えてください~。)



これは、一見するとROS1患者の人への情報ですけども、根本は異なります。「人道的見地からの拡大治験」は治験の条件から外れた人のための制度です。つまり、患者全員にその可能性があります。この情報は私たちにきちんと知らされているのか・・・?制度がどういうものかわからない、聞いたことないよ、というのが大多数の意見ではないでしょうか。




さてさて、そんな状況をなんとか打破することはできないのか?選択肢が与えられ、自分で選んでいくことはできないのか?そんなことを考えながら、とにかく前に進んでみよう、というのが「治験ってなに?」シリーズの目的です。




▼治験へのアクセスが悪い
わかりやすい情報提供をしてほしい




そもそも治験の情報はどこで手に入るのでしょうか?主治医から教えてもらえなければ、終わり、でしょうか。本当のところ、どうなっているんだろう?ということで、情報を取りに行ってみることにします。調べてみました。

治験の情報提供、アクセスが非常に悪いとよく聞きます。本当に悪いのか、自分たちで使ってみました。

 

まず・・・日本には大きな患者向けの検索サイトが2つほどあります
一つは、がん情報サービス。もう一つは、国立保健医療科学院が運営するサイトです。

今回は、こちらの国立保健医療科学院が運営するサイトで検索してみます。(2016年7月26日の状況)

こちらのサイトの大きな特徴は「逆引き」ができることです。薬の名前から検索できる。

では、さっそく検索してみましょう。例えば、オプジーボ。薬の名前は3つあります。それぞれで検索してみました。

ちなみに・・・

アメリカにはclinicaltrials.gov(クリニカルトライアルズ、ドット、ガブ)という検索サイトがあります。こちらも患者向けのサイトで、世界中の治験を検索できます。日本の治験も調べられます。こちらで調べると、3つの薬の名前、どれで調べても、治験の数は14件でした。

こういう振りをすると、どういうことが次に来るかはもうわかってしまいますね。こういう結果です↓

ニボルマブ、オプジーボで調べると38件。ONO-4538という治験コードで調べると、21件でした。同じ薬でも、調べる単語によって検索結果が異なっていました。



先に進みましょう。38件と検索結果の数が多いです。なので、絞り込むことにしました。アメリカのサイトには絞り込み機能があります。2か所。募集中かどうかをチェックするだけです。

日本のサイトでは絞り込みが8項目ありました。赤で囲ったところを見てください。

この絞り込みはやめにします。検索結果に戻ります。単純にワードを2つ入れて絞り込むことにしました。複数検索です。

オプジーボは肺がんだけでなく、皮膚がん、腎臓がんなどなど、様々ながんで治験が行われています。検索ワードを「ニボルマブ」と「非小細胞肺がん」の2つで調べることにしました。



アメリカのサイトで検索すると・・・できました!

日本のサイトでは・・・

他にも絞り込み機能はついています。年齢や性別です。

地域で絞り込むこともできます!

よくよく調べてみると「肺がん」「胃がん」などがん種で調べた場合、この絞り込み機能が使えることが分かりました。

これが、患者向けの治験検索サイトを使用してみた結果です。



▼このサイトが作られるきっかけ

 

そもそもは、国の「治験5か年計画」というところで患者向けのサイトを作ろうと決まったそうです。そこで受注(?)したのが国立保健医療科学院でした。厚生労働省の委託事業として、予算は2000万円ほど(らしい)。去年の7月にリニューアルオープンしました。


ちなみに、この検索機能に関しては作成途中から指摘されていたそうです。しかし、その指摘は生かされず、これでよしと判断され、このサイトはオープンしました。



今回はここまでです。次回はこちら。