バイアスを知ろう その2

皆さんこんにちは

2018年8月4日(土)にワンステップおしゃべり会が開催されました。15回目となる今回のテーマは「バイアスを知ろう」です。その2回目。

 

書いてくれたのは、まりもさんです

 「バイアス」とは考え方や意見に「偏り」を生じさせるもの。「先入観」とか「偏見」のことです

前回は、バイアスに影響を与える3つの因子のうち1.心理効果までをお話ししました。今回は残りの2つ。2.感情と3.専門用語についての講義を前回に引き続きライブ風味でお伝えいたします。

 

※尚、講演での先生のご発言やご説明等は、筆者の記憶と当日配布された資料から起こしたものであり、「一言一句正確に再現したものでない」ことをご了承ください。

 

さあ、第二回目のはじまりはじまりー。

大野先生、今度は唐突にこんな質問をします。

 


「のどに詰まらせるリスクが高い食べ物は、飴とこんにゃくゼリーどちらでしょう?」

 


我々子羊たちは数年前某こんにゃくメーカーが製造していた一口サイズのこんにゃくゼリーで小さいお子様や高齢者がのどに詰まらせ窒息するという事件がマスコミに大きく取り上げられたのを記憶しています。そこで問いの答えは、たぶんこんにゃくゼリーの方ではないのかな?と考えました。ここでよく考えてみましょう。

 

 

その商品のもつ特性(大きさや硬さ)、食べる機会(流通量や食習慣)等総合的に判断すれば答えは明らかですね。

 

そう!答えは圧倒的に「飴」の方が(窒息の)リスクは高いのです。(こんにゃくゼリーを1とすると飴はその約10倍高リスクのようです)

先生は東日本大震災で起きた原子力発電所の事故(放射性物質)を例に取り「私たちは、リスクを大きく評価してしまうケースがそろうと感情が揺さぶられ必要以上にリスクを恐れてしまう可能性があるのです。」と言い1つずつ当てはめて説明して下さいました。さあ皆さんはいかがですか?バイアスに掛からない自信がありますか?

 

 


リスクが過大視されるケース

 

① 意図せずに受ける

(放射性物質は意図せず被爆しますよね、見えないし・・・。)

 

② 不公平な分配

(福島第一原発周辺とそれ以外の地域は被害の程度が違いますよね。)

 

③ 個人的な予防措置で避けられない

(確かに・・・。)

 

④ 馴染みがない新規の原因から発生

(東日本大震災以降に注目され始めた感じがします。)

 

⑤ 天然より人工的な原因から発生

(まさしく原発は人工的ですね。)

 

⑥ 潜伏して不可逆的な損害を引き起こす

(被曝後、何年も経過してから発症が想定できる。)

 

⑦ 子供、妊婦、将来世代に害をもたらす

(その通りだな。)

 

⑧ 死、病気、怪我などの恐れがある

(まさしく・・・。)

 

⑨ 被害者が特定できるような損害

(・・・だな。)

 

⑩ 科学的に十分解明されていない

(未だに完全無害化への道筋は遠いようです。)

 

⑪ 信頼できる複数の情報源から矛盾する報告が出ている

(どの情報が正しいのやら・・・。)

 

 

 

ちょっとここで視点を変えていわゆる「プロフェッショナル」な人々はどんな事をリスクと考えているのか?について先生はお話し下さいます。


実は大野先生内閣府消費者委員会専門委員(特定保健用食品の審査)を務めています。そこで内閣府食品安全委員会が2015年にとった「食品に係わるリスク認識アンケート調査」をプロジェクターに映して私たちにこう問いかけました。

 

 


「皆さんは健康への影響に気をつけるべきと考える項目はどんな事がありますか?」

 

「たばこですか?お酒ですか?」

 

「一般に専門家と消費者では重要視する度合いが異なる現象がみられます。」

 

 

「食品添加物や残留農薬などに対して不安な気持ちや恐怖を持つことを否定するわけではありませんがリスクを正確に知ることが大切です。ベネフィットを無視し理性的な判断ができなくなりそうになったら一度冷静になりリスク過大視の11項目を参考にしてみてはいかがでしょうか。」

とお話になり以下のアンケート結果を見せてくれました。

 

 

 

一般消費者と専門家のギャップ

 

★健康への影響に気をつけるべきと考える項目

 

気をつける必要性:専門家

タバコ、偏食や過食、アレルギー、飲酒、輸入食品、健康食品・サプリメント

 

気をつける必要性:一般消費者

食品添加物、食品容器からの溶出物質、ダイオキシン

 

 

★がんの原因と考える項目

 

原因と考える:専門家

タバコ、加齢、飲酒、病原性微生物、カビ毒、性生活

 

原因と考える:一般消費者

食品添加物、農薬の残留、カドミウム等の金属元素、食品中の放射性物質、遺伝子組み換え食品

 

 


面白い調査ですね。でもこれって医療者とのコミュニケーションに戸惑う我々子羊たちにとって、「いいヒント」になりそうです。「せんせ、ありがとうございます。」

そして先生は、迷える子羊が危険なバイアスの罠に引っかからない様に「感情」という視点からこんなアドバイスもしてくれました。

医療情報や健康情報において「よく見るワナには、特徴があります。」


① 「白黒がはっきりしている、物事を単純化した物言いには気をつけよう」
② 「感情を揺さぶる物言いには気をつけよう(希望・恐怖を煽るもの)」
③ 「都合よく願いを叶える商品・書籍・セミナー(しかも高額)には気をつけよう」

 

 

(筆者は)お金がないので③はダイジョウブ(クククっ)。でも本当に的を射ていますよね。確かにがん治療は、同じ肺がんでもひとりひとり全く違うなんてことはこのブログ読者であればもう常識です。そして現在、医療の進歩は認めていても「医療に絶対はない!」ってことも頭では分かっている(つもり)。バイアスをくぐり抜けるにはやっぱり勉強は大事な事のようです。

 

 

 


さあ最後は3.専門用語です。

 

「早速ですがみなさんコレ何の病気か分かりますか?」

 

先生、少しばかりニヤニヤしながら聞いてきます。

麦粒腫
伝染性紅斑
流行性耳下腺炎
色素性母斑

尋常性痤瘡

 

 

頑張る子羊たち。みんなの知恵をあわせて1つずつ解答していきました。やったー全問正解です。
ちなみに答えは上から

 


ものもらい
リンゴ病
おたふく風邪
ほくろ

にきび

 

です。

 

 


先生は続けざまに、ならばこれはどうだ!と言わんばかりに2問追加です。


「ジハイドロジェンモノオキサイド(DHMO)とは何でしょう?」

なにやら物質名らしいのですが子羊たちは誰ひとり分かるものはいません。DHMOにはこう説明がされています。

 

 

水酸と呼ばれ、酸性雨の主成分である。
温室効果を引き起こす。
重篤なやけどの原因となりうる。
地形の浸食を引き起こす。
多くの材料の腐食を進行させ、さび付かせる。
電気事故の原因となり、自動車のブレーキの効果を低下させる。
末期がん患者の悪性腫瘍から検出される。

 

 


先生!降参です。早く答えを教えで下さい。子羊たちが訴えます。
先生は優しくタネ証ししてくれました。

「ジハイドロジェンモノオキサイドは・・・水の事です。」

 

「この様に私たちは概してよく分からない、難しそうなものには恐怖を感じたり無意識に避けたりしてしまいがちです。」

 

 

 

そうなんです先生。おっしゃるとおりです。でもね先生。ここまで人はさまざまな心理効果や感情の影響で情報を歪んだかたちで認知しやすい(バイアスがかかりやすい)と教えて下さいました。では今までの教えを生かし正確に情報の見極めに成功したとします。その後、どうすれば私たちは後悔のない決断・行動をとれるのでしょうか???

 

 


次回子羊たちはその解決策を手にすることになります。

 

 


と2回目はここまでです。次回最終回は先生の講義のまとめと講義&ワークショップを終えた後取らせていただいたアンケートについてご報告をしたいと思います。

 

 

 

 

※このワークショップは、アステラス製薬株式会社さんの助成金を受け、開催されました。感謝申し上げます。

 

 

 

※大野先生の連載です。詳しく知りたい方はこちらをどうぞ!

https://www.asahi.com/articles/SDI201901148249.html?iref=com_api_hea_kikutop