日本肺癌学会学術集会レポート その1

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皆さん こんにちは

何の変哲もない道路。 

 

この先にいつも通っている病院があります。 昨日は検査結果でした。いつも通りのうやむやの結果。20行くらいびっちりと書いてある報告書をもらいました。でもそれもいつもと同じ。解釈や対処を話し合って経過観察です。来年の2月で病気がわかってから。まる10年になります。写真の道路も10年間通った道と言うことになります。不思議な感覚です。 次の外来では、先生に感謝を伝えよう、そう思っています。

 

 

 

▼日本肺癌学会学術集会レポート その1 Nさん

 

12月6日~9日まで大阪で開催された学術集会に参加された方から、感想をいただいています。参考になることばかりです。

 

最初はNさんからです!最後の感想部分、治験の応援してもらっています!大変うれしいです。

※最後の方の奏効率などのデータは、次の回で図などで解説もしてみます。まずはNさんの渾身のレポート、読んでいただきたいです。うれしいな。

 

 

 

【第60回日本肺癌学会学術集会レポート】

 

 

2019年12月6日から8日に大阪で開催された日本肺癌学会学術集会に参加してまいりました。肺癌学会に参加させていただくのは4回目ですが、今回はほとんどPAP(患者・家屋向けプログラム)のセッションに参加しており、医療者向けのセッションにはあまり参加できませんでしたが、あるポスター発表から、EGFR遺伝変異陽性の肺がん患者である私個人が気になったものについてレポートしてみたいと思います。尚、実際にはもっと細かいデータや記述等も載せられていましたが、要約・省略しているという事をご了承いただきますようお願いいたします。

 

 

 

【ポスター発表、P03-07】

 

<演題名>
第1,2世代EGFR-TKI投与後にT790Mの発現を確認できなかったEGFR変異陽性肺癌に対するオシメルチニブの効果

 

 

<演者>
船橋市立医療センター 腫瘍内科 平野聡先生

 

 

<背景と目的>
第1,2世代EGFR-TKIの副作用が原因で投与継続が困難となり、第3世代EGFR-TKIを使用せざるを得ない状況が生じているが、その際必ずしもT790M変異が確認されていないこともある。
これまでに、第1,2世代EGFR-TKI投与開始後にT790Mの発現を確認せずに第3世代EGFR-TKIに切り替えた際の効果についての報告はないため、これについて検討する。

 

 

<対象と方法>
2016年8月から2019年9月までに、船橋市立医療センターで2次治療以降でオシメルチニブが投与された32例を対象とし、T790M変異の有無別にオシメルチニブに開始理由と治療効果を後ろ向きに検討した。

 

 

<患者背景>
32例のうちT790M陽性例は18例で、切り替え理由はAE(有害事象)1例、PD(病態進行)17例。T790M不明例は14例で、切り替え理由はAE14例でPD0例。

 

 

<結果>
T790M陽性例で、PFS(無増悪生存期間)中央値は10.2ヶ月、奏効率56%、病勢制御率83%、EGFR-TKIの総投与期間中央値29.7ヶ月であったのに対して、T790M不明例ではPFS中央値7.3ヶ月、奏効率21%、病勢制御率64%、EGFR-TKI総投与期間中央値41.2ヶ月であった。

 

 

<考察と結語>
これまでに第1,2世代EGFR-TKI投与後に耐性を獲得した患者に対するオシメルチニブについて、T790M陽性例では奏効率61%、PFS9.6ヶ月。T790M陰性例では奏効率21%、PFS中央値2.8ヶ月と報告されているが、第1,2世代EGFR-TKIによる有害事象のために、T790M陰性あるいは不明例でのオシメルチニブへの切り替えの効果についての報告はない。
本研究では、副作用のためにオシメルチニブに切り替えたT790M不明例での奏効率は21%、PFS中央値は7.3ヶ月であり、第1,2世代も含めたEGFR-TKIの総投与期間中央値は41.2ヶ月と良好であった。
第1,2世代EGFR-TKIによる有害事象で継続が困難である場合には、オシメルチニブへの切り替えが有用な選択肢となる可能性が考えられた。本研究は小数例による後ろ向きかつ短期的な検討であるため、さらなる症例集積や長期間の経過観察が必要である。

以上がポスター発表の要約です。

 

 

 

 

【筆者のコメント】

 

 

日本ではオシメルチニブ(タグリッソ)は、EGFR-TKI耐性後にT790M変異が確認された患者のみを対象として2016年に承認されました。その後2018年にFLAURA試験の結果を受けて、T790M変異が確認されなくても、1次治療においては使えるようになり、現在ではEGFR陽性肺癌の1次治療薬として中心的な存在となっています。1次治療ではT790M変異が確認されなくても使える一方で、1次治療で他のEGFR-TKIを使った患者については、使えないという事になっています。つまり、現実的には使いたくても使えない患者が一定数存在するという状況です。

 

 

上記のポスター発表の後ろ向き研究は、第1,2世代のEGFR-TKIが耐性になったわけではなく、有害事象により継続できない場合のT790M変異不明例の研究で、奏効率は21%で、PFS中央値は7.3ヶ月で、有用な選択肢となる可能性があると述べられています。

 


また、考察で述べられている、EGFR-TKI耐性後にT790M陰性であった例の奏効率が21%、PFS中央値2.8ヶ月とありますが、これはAURA試験またはAURA延長試験・AURA2試験の結果のようです。
そのPFSのカプランマイヤー曲線(画像は近畿中央呼吸器センターの倉原先生のブログ「呼吸器内科医」より拝借しました)を見ると、T790M陰性例でも、約20%程が10か月以上奏功しています

図:Jänne PA, et al. AZD9291 in EGFR inhibitor-resistant non-small-cell lung cancer. N Engl J Med. 2015 Apr 30;372(18):1689-99.より引用

ポスター発表の結語では「さらなる症例集積や長期間の経過観察が必要である。」と述べられています。

 

 

そして、上記のようにEGFR-TKI耐性となったT790M陰性例でも約20%で10か月以上奏功したというデータもあります。

 

 

その一方で、現状ではオシメルチニブを、効果がある可能性があるにもかかわらず、使いたくても使うことの出来ない患者が一定数います。
こうした不幸な状況を改善して、患者が悔いのない治療選択をできるように、また肺癌治療の進歩のためにも、一次治療で第1,2世代のEGFR-TKIを使用した患者でT790M変異が不明な場合でも、オシメルチニブが使えるようになるためのエビデンス(科学的根拠)がもっと得られるよう、さらなる研究が進むことを期待いたします。