がんリハビリ(リハビリで日常生活のQOLを高める!)

その4

(4)骨転移、緩和ケア主体の時期のリハビリ、がんリハビリ5か条

骨転移の好発部位は、背骨ですね。脊髄とか肋骨、骨盤。それからこの上腕骨の体に近い部分、あと大腿骨の体に近い部分、体幹に近いあたりが転移をしやすいです。

手が折れてしまったら使えないし、足が折れたら歩けなくなります。背骨がつぶれて折れてしまったら、脊髄の圧迫症状といって、足が動かなくなったり、手が動かなくなったりします。そうならない予防的な体が重要であります。


骨の転移があると痛みも出ますけれども、屋内歩行ができるくらいの方が、背骨の骨折を起こしてしまうと、足が動かなくなり、いきなりベッド上生活を余儀なくされてしまいます。そうすると残された余命の生活の質が著しく低下してしまいますので、痛みの治療も大事ですけれども、できれば亡くなる直前まで残された移動能力とか生活動作を維持できるための骨折予防、そのための放射線治療、薬物療法とともに、リハビリでの生活指導もとても大事になってきます。

避ける動作としては、背骨であればねじる動作とか、あんまり前かがみとか後ろそらしのやりすぎはいけない。足もねじる動作はいけない。骨盤であると、ぐっと踏みしめるような動作、上肢、腕のほうも重いものを持って下垂したりとかねじる動作はよくない。転移の場所と程度に応じて適切な補装具、杖を利用したりなど。大きく急に動かすとどれぐらい動いたかって予想しづらいので、細かくゆっくり慎重に動かしていく習慣づけも大事です。


骨転移の場合には普段の主治療科の先生、スタッフだけじゃなくて、整形外科の腫瘍の専門の先生、あと放射線治療科、それからリハビリ科も大事です。痛みのためには緩和ケア科。チームでかかわることが大事で、「骨転移カンファレンス」とか「骨転移キャンサーボード」というものが、全国的に大学病院を中心に増えてきています。


そして最後が、緩和ケア主体の時期のリハビリですね。積極的な治療が難しい場合には、余命の長さにかかわらず、患者さんやご家族の要望を十分把握したうえで、その時期においてできる限り自立的な日常生活を送る、例えば、トイレに行って自分で用を足したいとか、希望される方々も多くいますので、リハビリの支援ができるのかなと思います。

例えば緩和ケア病棟における理学療法とか作業療法の目的としては、楽に休める、疼痛、苦痛を緩和する症状緩和的な役割がもちろんあります。いろんなテクニックがあります。痛みがあるなら痛みが出ない動作の指導するとか、筋力低下があるなら適切な杖とか歩行器や、手すりを使ったり等の、いろんなやり方で、できないと思っていたことができることも結構あります。


それからもう一つは、リハビリや運動は、能動的にできる唯一の治療ですので、治療がまだ続けられているという精神的な支援になります。積極的な治療ができなくなっても、リハビリはできますので、それによって達成感を得られるし、自立的になることもできます。歩けなくなっても手が使えればベッド上でリハビリはできます。



心のケアや症状緩和という緩和ケア的な対応、リハビリ、栄養管理、それから今日はお話ししませんでしたけれども口腔ケアや、社会復帰を目指した回復の支援とか、このようなサポーティブなケアをしっかり行うことによって、生活の質をさらに高めていけると思います。日本では、こういうサポーティブケアに対する対応というのは遅れていたのですが、やっと昨年の秋に、日本がんサポーティブケア学会を設立して、その中にもがんリハビリ部会というのができました。


http://jascc.jp/


リハビリだけではなく、いろんなサポーティブな対策を行うような医療専門職の部会ができて、今やっとその取り組みが行われてきているようなところです。



また、ピアサポート的なものとして、リブストロング活動という世界的ながんサロンの日本支部があります。

ジャパンフォーリブストロング https://www.facebook.com/japanforlivestrong.org/


それから、日本独自のキャンサーフィットネスでは、教室を開催したり、病院に出向いて運動教室を開催したりといった活動を行っています。

キャンサーフィットネス http://cancerfitness.jp/



最後に、がんのリハビリ5カ条の紹介です。

今日のお話は、がん情報サービスのがんと療養シリーズの、「がんの療養とリハビリテーション」というタイトルで公開されています。

http://ganjoho.jp/public/dia_tre/rehabilitation/reha01.html

 

また慶應義塾大学のKOMPASという患者さん向けの医療情報サイトもあります。http://kompas.hosp.keio.ac.jp/
 
次回は、実際に身体を動かしてみよう!ということで、実践ビデオを紹介します。