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食事の力 第21回おしゃべり会報告

みなさんこんにちは! 

 

こちらの記事は、一度アップしたのですが、操作を誤り、消えてしまいました

少し前と変わっているところがあるかもしれませんが、再度アップします

 

 

第21回おしゃべり会の報告

 

この日の講演テーマは、大妻女子大学教授で、がん病態栄養専門管理栄養士でもある川口美喜子先生による、「食事の力」。みんなが知りたいことがたくさん聞けそうです

 

 

川口先生は、食事を誰かに作ってあげることが大好きなんだそうです。人に喜びを与えられる食事。たくさん愛を込めて、作ってあげたいですね(反省!)
そして、先生のご趣味はトライアスロン!優しげな見ためと違ってタフな川口先生! 
ご家族を島根に残して、東京に単身赴任されているというお話も伺いました。
そんな先生の背景も伺って、先生の力強さも感じながら話を聞いてみてください、と長谷川さんからご紹介がありました。

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川口先生のお話です。

 

「食事の力」
[がんと共に健康的に食べる]

 

がん治療中、栄養・食事は治療の効果を上げ、早期回復を促す。
しかし、治療の有害事象(悪心、嘔吐、味覚障害や口内炎など)が起こり、食が進まなくなる。
エネルギー不足、たんぱく質・アミノ酸不足(特に必須アミノ酸)、脂肪欠乏(特に必須脂肪酸不足)、
水分・電解質不足などの栄養障害が起こる。
※必須アミノ酸、必須脂肪酸は体の中で作ることができないため、食物から摂取しなけばならないもの。

 

 

食べられるときに食べたい物を、何を食べてもよいと言う先生がいるが、
患者は、病気に対して何かできることはないかと思っているはず。
例えば、白米、砂糖、乳製品、パンなどはやめて、
玄米、にんにく、人参ジュース、無農薬野菜などにこだわる人が多いのでは。

 

 

再発しないためには?免疫力を上げるには? などよく尋ねられる。
免疫力を高めるのは、魚がおすすめ。オメガ3系脂肪酸がよい。
青魚(イワシ・サバ・サンマ・アジなど)がよく、缶詰を利用するのも手軽で良い。
また、ビタミンDとAは免疫強化に役立つ。
Dは魚から。Aは緑黄色野菜で。油で炒めると吸収がよくなる。
魚と野菜をしっかりとる工夫をしたい。
 

 

また、免疫力を上げるには、おなかの調子を整える。
大腸で水分不足や食物繊維が不足すると、便の様子が悪くなる。
「脳腸相関」と言われるが、腸は最大の免疫器官。
十分な睡眠をとり、腸内フローラをよくする。
腸を整えるには、乳酸菌を摂って善玉菌を増やす。
発酵食品を摂るとよい。ヨーグルト、チーズ、納豆、みそ、ぬか漬け・・・など。
オリゴ糖にも善玉菌を増やす働きがある。
食物繊維を多く含む野菜なども多くとる。

 

 

先生のおすすめは、梅酒ゼリーとヨーグルト。
ゼりーは、口当たり、のど越しがよく食べやすい。そして簡単に作れる。
食欲不振時は、赤い色のものが食欲を増進する。
治療に伴なって、喜びの低下や消失、食べられない、おいしいと思えないことがある。
食べられた、食べたい、おいしいと思えることが大切。

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[みなさんにとってのおいしいとは?]

 

患者さんに向き合うとき、「あなたの美味しいを作ってあげたい」と話し、食事、食習慣を知ることから始める。
そして食に対して、目標としたいことを設定する。1歩ずつ目標に近づけそうと感じることが大切。
例えば、果物を1個食べる。主食・主菜・副菜のバランスを整える。など。
バランスをとるために、先生の作った「バランスマット」を使う。
所定の位置に、指示された食材を置くことで、バランスが取れる。
また、主食を〇、主菜を□、副菜を♡の形のお皿に盛りつけることで、バランスをわかりやすくする。
(特許を取ったそうですが、お皿は売れないそうです。取り入れたい人は、連絡くださいとのことです。)
例えば高齢の親御さんへのプレゼントに、がんではなくても、とても良いと思います。

 

 

ごはんだけ食べてお腹いっぱいではだめ。ごはん100gで、たんぱく質は2.6gしかない。
ごはんだけではたんぱく質不足だが、TKG(卵かけご飯)にすると、たまご1個とかつお節でたんぱく質が8.5gになる。これはすごいこと。
TKG用のお醤油は、先生のお友だちが元祖の考案者だとか。
さらに茹で野菜(きゃべつ、人参、アスパラ)を加えれば、立派なバランスの整った食事になる。
 

 

[おいしく楽しく食べ続けるには]

食べられなくなった時の工夫
母の味、郷土料理、想い出の味など、記憶に強く残っている懐かしい味などは、食欲がなくても食べやすいのでは。
バランスは大事だが、食べないことには栄養になれない。
コミュニケーションが食べる気持ちにさせることもある。患者会などの場に出てくることも大切なこと。
治療の前に、どんな有害事象があるか調べて理解して、対策しておくのもよい。

 

 

ポタージュはのど越しがよく、バターや生クリームなどを使うことで、カロリーを上げやすい。
ハンドミキサーで手軽に。楽に作れることも大切な要素。
グリル調理ができる皿も便利。食材を皿に並べて、魚焼きグリルの中で蒸し焼きにする。
そのままお皿として出せて、洗うのも簡単。

 

 

栄養剤は食べられないときの救世主。毛嫌いしないで。
「アップリードミニ」は50ccで200kcalもある。食が進まないときの助けになってくれる。
栄養剤を食材として使用することも。リンゴとショウガでスムージーにしたり、フレンチトーストを作ったり、ミルクティー風も。
栄養剤を飲んでくれない患者さんに、治療の日には、本人の好きな献立を定番メニューとして出すと食べてくれることも。

 

 

有害事象を理解して、何をするか?
食事を作らないご主人と手をつないでスーパーへ行く。
店内で、どこの棚に何の食材が置いてあるかを教えてあげる。
食材がある場所を知らないと、買い物に時間がかかって、行きたくなくなってしまうから。
置いてある場所がわかれば、だんなさんも買って来てくれる。
調理の際は、缶詰や瓶詰、調理済みの食材を利用すると食事の用意が格段に手早くできる。
簡単にできると、継続しやすくなる。栗の甘露煮で栗ご飯を。鯖缶でパスタを作るなど。

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[何なら食べてくれるかな?と悩むとき・・・]

 

みそ汁
多くの日本人が好む味。食欲がなくても食べやすい。
みそ汁に使うみその種類や出生地、味、などについてそれぞれの物語があり、懐かしい味は食べやすい。

 

野菜のピクルス
市販のらっきょう酢やピクルス酢を使ってありあわせ野菜を漬けるだけ。
 

一口ロールサンド
生クリームとフルーツを包んで。缶詰もOK。パンにバターは塗らない。
ラップにくるんで冷蔵庫に作り置き。食べられるときに・・・

 

 

[手軽に作れるメニュー]

 

温泉卵(失敗しない!)
お鍋に500mlのお湯を沸かして、沸騰したら水150mlを加える。
その鍋に常温に戻した卵2~3個を入れてふたをして、15分置けばOK。

 

炊飯器で作る蒸し鶏
薄手で半透明のポリ袋に鶏肉を入れて空気を抜き、釜にお湯を張りその中に肉のポリ袋を入れて、炊飯スイッチを押すだけ。袋は高密度ポリエチレン製、薄手のものの方がよい。
かぼちゃの煮物、パンケーキなどもできる。
「パッククッキング」として、災害時の調理法としてもネットでたくさんのレシピが紹介されています。
 

フルーツシロップ
もも、いちじく、グレープフルーツなどの果物と氷砂糖を10:7の割合で漬け込む。

 

 

中鎖脂肪酸はすぐにエネルギーになる。みそ汁やコーヒーに落として飲んだり、パンケーキ、炒め物などに使ってもよい。
マギーズ東京・豊洲へ毎週通って、食事や栄養の話をして、野菜スープを作ってお出ししている。
スムージーやポタージュがいい。冷蔵庫にある野菜で作る。ハンドミキサーを活用。
コーン、ズッキーニなど。
作るときにブイヨンや化学調味料を使用すると、後味が悪いと感じるそうなので使わない。
焼きナスとしょうがでもポタージュに。

 

 

スムージーは野菜2種+果物1種+その他2種(ナッツ類、牛乳や豆乳などなんでも)
季節の野菜を使い、きれいな色になるようにいろんな食材を使って楽しんで作ってみる。
失敗することもある。

 

 

 

がん患者と家族の食事をサポート[カマエイド](kama aid)の紹介

 

管理栄養士、栄養士が1500以上のレシピを紹介しています。お悩みに対応したレシピを探せたりします。

 

https://kama-aid.com/    ← ここをクリックするとカマエイドへ飛びます

 

川口先生が監修しているレシピもあります。
スマホに登録して、アプリのように使うこともできます。ステキなレシピがたくさんありました



「老後と介護を劇的に変える食事術」

 

川口先生の著書。
呼吸は無意識だが、食事は意識的に行う必要がある。
食べる口としゃべる口の健康を維持して、孤独を遠ざける。
食べる喜びを伝え続けていこう。


以上です。まとめます。
◎免疫力を上げるには、魚と緑黄色野菜を取り、腸内環境を整えること。発酵食品をとる。
◎バランスよく食べること。特にたんぱく質が不足しないように。
◎食べられなくなってきたとき、懐かしい、記憶に残る味は食べたいと思えることも。
のど越しのよいポタージュ、調理や片付けが楽な道具の利用、少量で高カロリーな栄養剤を食材として利用する。食材がどこに売っているかを知らせておき、家族に食事を作ってもらえる工夫をする。
◎食べやすいものの例。みそ汁。ありあわせ野菜のピクルス。一口フルーツロールサンドなど作りやすいもの、食べやすいもの。
温玉、パッククッキング、フルーツシロップ。中鎖脂肪酸の利用。スムージーやポタージュ。
◎カマエイドでがん患者向けの栄養士考案のレシピを検索してみる。
◎川口先生の著書「老後と介護を劇的に変える食事術」読んでね♪

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