肺がんBookvol.4から

インタビュー記事 堀均さん(後編)

みなさんこんにちは!

昨年秋に発行した「肺がんBook VOl.4」から

特集記事の、3名の方へのインタビューを改めてご紹介します。

今回は、堀 均 さんの後編です。

インタビュー、写真は木口マリさんです。

●「病を誇りに変える人」インタビュー②

●日本対がん協会リレー・フォー・ライフ・ジャパン新規開発支援担当
  堀 均 さん(67歳)

●リレーフォーライフ――支えられる側から支える側に

―リレーフォーライフ(RFL)に関わった経緯を教えてください。

 

インターネットで肺がん仲間を探していたんです。当時のSNSといえば、「掲示板」ですけど(笑)。
掲示板を通じて、2005年に故・三浦秀昭さんと出会い、「米国で行われているRFLを日本でもやりたい。堀さん、一緒にやってくれないか」という話になりました。

 

RFLは、1985年に米国で始まったがん征圧のチャリティ活動。三浦さんが中心となって日本での活動が始まり、2006年、茨城県つくば市でプレ開催が実現しました。活動はどんどん広がり、現在は日本各地で行われています。(2019年は約50カ所で開催)

僕は会社員をするかたわら、RFLにボランティアとして参加することになりました。2016年に全国の RFLの総実行委員長を務め、2017年には、“人々に勇気や希望を与え、前向きにがんに立ち向かう人”の賞である「ヒーローズ・オブ・ホープ」(米国対がん協会)を受賞しました。日本のRFLを管理する日本対がん協会でがん患者支援のお手伝いを始めたのもそのころです。

 

 

―活動から得られたものはありますか。

 

僕は、病気になって、人に助けられていることを痛感しました。がんは、特にそれを強く感じられる病気なのだろうと思います。

 

自分のやっていることが誰かの役に立って、相手の中に何か腑に落ちるものがあり、自分も同じようにストンと落ちるものがあればwin-win。お互いにいろんな人に支えられて、生かされているのだと思います。
 

 

―企業へ支援のお願いに行くことがあるそうですが、どんな反応がありますか。

 

企業で自分の体験をお話しすると、労務や人事の人たちは、「実は、うちの部署にも、がんの人がいて……」と打ち明けてくれます。みんな、どう対応したらいいかと悩んでいるんです。

 

そのとき感じたのは、「ピアサポート(同じ経験をした人の支え合い)は、患者さんをサポートするものだけれど、“患者さんに関わる人たち”のサポートも大事だ」ということでした。

 

 

―どんなアドバイスをされていますか。

 

僕は、「患者さんに病気のことを聞くだけでもいい。『治して帰っておいで』と言ってあげるだけでも、相手は安心していられる。これ以上心強いことはないですよ」とお伝えします。

 

これは自分の体験からのこと。僕ががんになったとき、会社の人が「しっかり治療して帰ってきてください」と言ってくれました。帰れる場所があると思えるだけで、安心感がありました。

●“2つ目の命”はまだ19歳 ピチピチです(笑)

 

 

―ものごとを前向きにとらえる秘訣を教えてください。

 

自分で前に進んでいこうとすることでしょうか。「生き延びよう」と考えると、強いプラスの力が働きます。
僕は、自分で病気のことを調べて、医師と相談しながら治療法を模索しました。病気のことをいろいろ調べると怖い内容も見つけるし、医師から聞きたくない話をされることもある。でも、それは忘れちゃう(笑)。

 

それに、周囲の人や自分自身も含め、自分を支えるものがいっぱいあったから強く生きてこられたのではないかと思います。
 

 
―今、がんと向き合っている方に何を伝えたいですか。
 


がんになってからは、“2つ目の命”。だから、僕はまだ19歳。ピチピチです(笑)。
この19年は、「生かされたドラマ」なんです。僕は、たまたまみなさんよりも先にがんを経験した「前を歩く人」です。今、がんと向き合っているみなさんには、「弱かった自分がどんどん強くなっていくんですよ」と伝えたいですね。

 

RFLには、3つのテーマがあります。「Celebrate(祝う)」「Remember(しのぶ)」「Fight Back(立ち向かう)」。亡くなった方を偲び、今、闘っている人をたたえる。がん啓発をすることによって、一人でもがん患者さんを減らすために立ち向かう。

 

がんを経験した人は、みんなヒーロー。今、がんと闘っている人も、治療がうまくいって、生きてきた人も、ヒーローです。そして、亡くなった人にも、その命は無駄になっていないと伝えたいです。



―最後に、堀さんの好きな言葉を教えてください!

 

「お変わりありませんか?」
がん患者は、毎朝を変わりなく迎えられる喜びを強く感じます。だからこそ、「お変わりありませんか」と言う言葉が大好きなのです。
 

 
 

(写真・文:木口マリ/一部写真堀さん提供)