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てるっちさん⑦(最終回)

てるっちさんの続きです。
最終回です。

前回までのインタビューで、紹介しきれない部分がありました。

非常にもったいないので、ご紹介したいと思います。

 

 

あのですね。

実はてるっちさん、「病気・治療のことはあまり考えない。」という信念を持っています。

だからでしょうか、治療にかかわる質問をすると、「そこ、わかんないな。考えてない。」という答えがけっこう多くありました。

その信念、考え方をご紹介します。これは、がん患者の「生き方」の話でもあると思います。

 

 

なるべく病気のことは考えないようにしているんだ。これはね、家内がそういうふうに言うんだ。考えてしまうと次にどういう状況が出てくるのか怖くなってしまうから。家内も考えない方がいいんじゃないかということで。

だから、なるべくネットも見ないんだ。知識をいろいろつけようと思っていない。

何かで読んだんだけど、いろいろ知ってしまうと先生もやりにくくなってしまうと書いてあったんです。

 

 

 

―――先生がやりにくくなる?

 

 

 

患者さんが下手に治療のことを知ってしまうと、先生がやりにくくなる。そういうふうに書かれていました。だからあまり調べないようにしようと思いました。知識としては浅く広く知っておけばいいなというところ。何の薬を飲んでるかというところまではわかる。要は効いてくれればいいわけだからね。

 

病気になった時に入院するでしょ。その時に同じ部屋になった患者さんがいたんだけど、その人は本当に何も病気に関しても考えなかったんです。俺より二つぐらい年上の人だったかな。その人は進行性の肺がんだった。もう2年前に亡くなってしまったんですが、本当に病気のことについては何も考えていませんでした。どんな治療をしているのと聞いても本人もわかってないし。そしてね、自分が歩けなくなるまで進行した時に、初めて自分ががんでやばいってことを知ったんです。そういう人だったんです。

そして、その患者さんは、放射線科のお医者さんからすごく気にいられたのね。その人の奥さんは看護師さんだったんだけども、その理由は、夫(患者)が何も考えていないからじゃないかと言ったんです。要は、がんのことについて知識を入れようとしない。だからお医者さんからすると、患者がいろいろな知識をつけることは嫌がるのかなと思った。だったら深く調べるのは良くないなと思ったんです。だから僕はあまり調べないんです。

 

 

 

―――僕は結構調べる方なんです。なぜ調べるのかというと、不安だからです。不安だから調べます。どこまでいってもグレーだったり、答えがでないから、不安はいつまでも消えない。逆に増えたりする。そして、その不安がとんちんかんな場合がある。でも、なにも知らないという不安感とはまるで違います。僕はこっちのほうがいいです。

てるっちさんが言っていることは不安自体をシャットアウトする方が幸せに生きられるのではないかということですか?

 

 

そういうことかもしれない。だからあまり深く考えない。あまり考えてしまうとあれもこれもと不安になってしまうから。

 

 

―――24時間病気のことばかり考えていたらそれはたしかに本末転倒ですよね。それは生きているんですかという話になります。

たしかに僕の例でいえば、考え始めるとそれが日常生活にもおよんで、日常が狂ってくる。頭おかしくなってくる。どこかでバーンと切ったほうが自分の生活ができるのかもしれませんね。

 

 

インターネットを見てても、もうキリがないよね。がんが消えたとか。あまり考えないほうがいいと思う。

がんのことを考えると、先がわからないじゃないですか?松下幸之助の話じゃないんだけど、過去を悔やんでもしょうがないでしょ。先のことを考えても仕方がない。不安なことも多いしね。だから、ただ、今の一生懸命生きればいいじゃないか。精一杯やればいいということだよね。だから、今を一生懸命生きる。

 

 

 

以上、てるっちさんのお話でした。

 

患者の本音だと思います。

 

てるっちさんはこの内容について、「患者さんの反感を買うかもしれない」と言っていました。そういったことを踏まえたうえで、「患者さんが自分自身を考えるきっかけになる」と思い、公開を許可したことを、最後に付け加えます。

 

 

てるっちさん、ありがとうございました!

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