2023年度世界肺癌学会学術集会
2023年9月10日 シンガポール
患者提案型 医師主導治験 KISEKI trial
みなさんこんには
私は長谷川一男。肺がんの患者です。ステージは4。
ジャパンラングキャンサーアライアンスは、
日本の15の肺がんの患者会が集まった組織に所属しています。
今回は日本のアクション。私たちが提案し、始まった治験についてお話しします。
背景
オシメルチニブは、日本の臨床では1/2回目のEGFR-TKI後に
T790M変異がない患者には適応がない。
目的
EGFR遺伝子変異陽性NSCLCに対するオシメルチニブの有効性を検討するため、
多施設共同前向き第II相臨床試験(WJOG12819L)を実施した。
対象は 第一世代または第二世代EGFR TKIと
プラチナ製剤ベースの化学療法による治療後に
全身性の病勢進行(T790M陰性)を認めた患者 。
結果です
プライマリエンドポイント
全奏効率は29.1%(95%CI、17.6-42.9)で、一次解析に必要な閾値奏効率(9%)を上回った。
結論
オシメルチニブは、進行性のEGFR T790M陰性病変に対して緩やかな抗腫瘍活性を示した。
つづいては、患者会がどのようにこの治験に関わっていったのかを話します
・試験デザインを医師と遺書に考えました。そして規制当局との交渉(医師同行)にも同席しました
・規制当局との交渉には4万ドルの資金が必要です。それを私たちは調達しました。
・臨床試験の案内
2万部の冊子を配布。Youtubeで動画を7本作成。そう視聴回数は10万回を越えました
・治験参加者の交通費補助 4人の患者に行えました
・マスコミにも多数取り上げられました
これらの活動も一助となり、治験の参加は予定より早く進んだと考えます。
今一度、患者視点からの結論を示したいです
この試験は、患者提案による医師主導治験として日本初のケースとなりました。
この試験の名前はKISEKIと言います
日本語では2つの意味を持ちます
「奇跡」と「軌跡」です。
ここに写っているのは患者・家族たちです。患者が提案して、治験を始めることに賛同してくれる人が
その決意を示すために、プレスセミナーの時に集まってくれました。
そして西日本がん研究機構(WJOG)の先生方、製薬会社さん、
みんなで勝ち取ったKISEKIになりました。
日本で起こった一事例が皆さんのお役に立てばうれしいです。