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【制作スタッフは見た!】マンガ動画・制作ウラ話
【制作スタッフは見た!】マンガ動画・制作ウラ話 #1
〜『“患者の知らない”医師の心情(ウチガワ)』のウチガワ〜
2021年春に公開された、ワンステップのマンガ動画『#私とがん』に続き、待望の肺がんマンガ動画3部作が始動! その1作目が、ついにYouTubeで公開されました!
●メインキャラは患者じゃない!?
こんにちは。マンガ動画制作スタッフの木口マリ(子宮頸がん経験者/肺がん患者家族)です。
3部作の第1話『“患者の知らない”医師の心情(ウチガワ)』の脚本を担当しました。
今回の3部作に登場するのは、患者さんだけではありません。日々、肺がん治療にあたっている医師、看護師、がん相談支援センターの相談員なども登場します。
しかも、第1話と第3話の主人公は、患者ではなく医療者!
患者さんの体験談は多くありますが、医療者の目線で患者さんと向き合い、治療を考えていくお話はなかなかないですよね。
ワンステップ代表の長谷川一男さんからこの企画を聞いたとき、「新しい! ぜひやりたい!」と思いました。
私も、患者として医療者のケアを受けたのち、取材やボランティア活動を通して医療者と過ごすなかで、彼らのウラの努力や、熱い想いを目の当たりにしました。
「1人の患者のために、こんなに時間をかけて準備していたの!?」と驚くこともしばしば。
しかしそれが患者に知られることは、ほとんどありません。
「このがんばりを知ったら、医療者への信頼が深まるはず。一緒にがんばってくれる医療者がいると気づけたら、治療への向き合い方も変わるのでは!」
マンガ動画の利点は、誰もが気合を入れずに見ることができて、心にスーッと入っていくツールである点。「心の声」を表現できるのもドラマやアニメにはない部分だと思います。
「『伝える』のではなく、『伝わる』ものを作りたい」
そんな長谷川さんの気持ちから、今回のマンガ動画はスタートしました。
●……で、マンガって、どうやって作るの!?
ところがどっこい、長谷川さんも私も、そのほかのスタッフも、マンガの描き方なんて知るはずがなく……。『#私とがん』は、プロの漫画家さんが原案を描いてくれましたが、今回は自分たちでイチから組み立てねばなりません。
「マンガの描き方」の動画を見てまわったり、家にあるマンガを見返して構成を考えたり。
とくに、今回は病気に関するお話。医療情報が分かりやすく、かつ正しく表現されつつも、登場人物の「心の機微」が違和感なく描かれることが必須。しかも、制作期間は数ヶ月。
これは、なかなかに高いハードル……!
「マンガじゃなく、絵にセリフを付ければいいのでは!?」
「まずはプロット(ストーリーやセリフ)を組み立てて、それをもとに漫画家さんにラフを描いてもらう!?」
などなど、オンライン会議を繰り返しつつ、手探りでやってみることに。
でも、何となくイイものができそうな予感がしていたスタッフ一同。何も分からないながらも、ワクワクしながら制作は進んでいきました。
※写真は、イメージを膨らませるために描いてみたヘナチョコなイラスト by キグチ
(↑ここに描いたシーンもマンガ動画に出てきます。探してみてくださいね!)
第一話『“患者の知らない”医師の心情(ウチガワ)』:
>>医療監修のミーティングで知った「医師のホンネ」など、まだまだウラ話は続きます! まて、次号!
文:木口マリ



【制作スタッフは見た!】マンガ動画・制作ウラ話 #2
〜医療監修・青野ひろみ先生の名言集〜
こんにちは。マンガ動画制作スタッフの木口マリ(子宮頸がん経験者/肺がん患者家族)です。
みなさん、知っていますか?
お医者さんって、人間なんです。
「当たり前だ!」と思うでしょうが、「人としての心の揺らぎ」や「気遣う気持ち」がありながらお仕事をしていることを、患者の私たちはついつい忘れてしまっているように思います。
たしかに、やたらとサバサバしていたり、つらい話をズバッと切り出したりするイメージはありますよね。私も以前は、「お医者さんは、こういうものだから」と、割り切って考えていました。
でも、医師も、いろんな思いを抱えているんです。
今回は、マンガ動画第1話『“患者の知らない”医師の心情(ウチガワ)』の主人公・青山ひとみ医師のモデルである、青野ひろみ先生(東京警察病院 呼吸器科部長)の思いを感じる名言を、それぞれのマンガのシーンとともに紹介します!
●「診察室に入ってきた瞬間に、患者さんの気持ちが伝わってくるんです」
青野先生は、患者さんが診察室に入ってくるときの表情や仕草を見て、「ずっと怖かったのだろうな」「本当は、すごく病院に来たくなかったのだろうな」と感じるそう。
「ドアを開けた瞬間から、心の内を察しようとしていたとは!」と、驚きました。
ちなみにこのシーンのように、開口一番に「がんですか!?」と聞く人、家族の後に隠れるようにして入ってくる人のほか、手が震えている人も、実際にいるのだとか。
●「よくない結果だと、医師も、ものすごく落ち込んでしまう」
「手術ができる段階でありますように! 大丈夫でありますように!!」と願いながら検査結果を見るという青野先生。
「よくない結果のときは、私もすごくショックを受けるんです。机にしばらく突っ伏してしまうこともよくあります」
告知のとき、全然サラッと「がんですね」なんて言っていない!! と感じる一言でした。サラッと言っているように見えるのは、落ち込んだ感情にフタをして「だったら、今、できることは何なのか」を考え、前へと進んでいこうとしているからかもしれません。
●「病院の外でも、患者さんのことに思いを巡らせています」
主人公・青山ひろみのシャワーシーン(笑)!
このコマはキグチの創作ですが、青野先生は、「病院の外でも思いを巡らせているのが分かっていい」とのこと。
私も、「勤務時間が終わったらおしまい!」ではない、医師の“時間外”の気持ちが伝わるといいなと思って入れました。
ちなみに、ワンコもキグチの創作。お話をするうち、「青野先生は、犬派っぽい(しかも柴犬)」と感じたことからワンコを登場させました。
すると、「実は、犬に似ていると言われる」と、青野先生。
犬派ではなく、犬だったか(先生自身が)!!
●「医師や看護師のほか、薬剤師、検査技師、事務員、お掃除の方なども、患者さんを支えたい気持ちでいます」
このシーンには、病院に勤務するさまざまなスタッフの姿があります。青野先生の提案から、このような形になりました。
「お掃除の方は、入院中の患者さんとよくお話をしているんですよね。それも癒しになっているのを感じています。みんな、患者さんがよくなってほしいと願っているんです」
たくさんのスタッフが、患者さんを支えたい気持ちでいるって、素敵ですよね。医師のウチガワだけでなく、病院の見え方もちょっと変わってくる気がします。
このほかにも、青野先生の名言はたくさん。ぜひ、マンガ動画を見てくださいね
第一話『“患者の知らない”医師の心情(ウチガワ)』
文:木口マリ
(共同制作ノバルティスファーマ社)






【制作スタッフは見た!】マンガ動画・制作ウラ話 #3
〜プロのモノづくりを見た!〜
こんにちは。マンガ動画制作スタッフの木口マリ(子宮頸がん経験者/肺がん患者家族)です。
ウラ話#1で書いたように、「マンガってどうやって作るんだ!?」から、私たちのマンガ動画制作は始まりました。
しかし当然ながら、すべてをシロウトが作っているのではありません。プロの漫画家さんが、脚本をマンガに整えてくれました。
●イメージにピッタリのキャラクターにびっくり!
漫画家さんからの最初の指示は、「登場人物の人物設定を送ってほしい」でした。
「それが分かれば、事前にキャラクターをデザインできる」とのこと。
どうやら、「そういう設定の人なら、こういう表情だろう」と考えて、人物を描いていくらしい。なるほど、役者さんが、その役に応じて表情や服装を変えるようなものか。
ちなみに、第1話で考えた人物設定はこんな感じ。
実は、「……文字で書かれた設定で、本当にキャラクターを描けるのか?」と、半信半疑だったキグチ。
ところが、出された絵を見てびっくり! それぞれが、私のイメージにピッタリだったのです。
■主人公:青山ひとみ
[39歳、呼吸器内科医、家族は夫と柴犬。気持ちを考えながら丁寧に治療をするため、患者からの信頼は厚い。感受性が強く、患者の落ち込みに共感しすぎてしまう面も。]
↑知的でありながら、優しさも感じさせるキャラクターに!
■患者:樋口恵子
[39歳、シングルマザー、事務職で家計を支えている。ちょっと神経質なところがあり、細かいところで悩みやすい。心の拠り所は猫。]
↑繊細な性格と、病気への不安が伝わってきます。猫を飼っていそうに見える。
■看護師:浜田
[32歳、がん看護専門看護師。家族は夫と猫1匹。穏やかで心優しく、お茶目でマイペース。]
↑お茶目感がいい! そして、猫を飼っていそう(そう感じるのはナゼ!?)。
◇
脚本も、もちろん文字で書いたのですが、マンガになって戻ってきたとき、「よくまあ、感情の動きまで私のイメージどおりに描いてくれたもんだ!」と思ったものです。とても正確につかみとられていました。……プロって、やっぱりすごい!
漫画家さんからもらったネーム(大雑把に描いたマンガ)をもとに、スタッフや、共同制作のノバルティス社さん、医療監修の青野ひろみ先生とミーティングを重ね、調整を加えたのが、現在の完成系です。
たくさんの人に見ていただきたいマンガ動画に仕上がりました。
制作に関わったみんなの子供のようなものです。
「生まれた〜(完成した〜)!」パチパチ!
第1話「“患者の知らない”医師の心情(ウチガワ) 〜診断から治療まで〜」
文:木口マリ
(共同制作ノバルティスファーマ社)







【制作スタッフは見た!】マンガ動画・制作ウラ話 #4
〜それは、“知識ゼロ”から始まった!〜
こんにちは。マンガ動画制作スタッフの木口マリ(子宮頸がん経験者/肺がん患者家族)です。
肺がんマンガ動画3部作の第2話『肺がんの治療ってどう決めるの?〜遺伝子検査編〜』が、11月24日に公開されました!
しかし、「治療の決め方」とか「遺伝子検査」って、何だか難しそうな響きですよね。
「……そのうち、見ようかな」と、後回しにしようと思ったアナタ! 大丈夫です。きっと、そう感じたのはアナタだけじゃありません。
でも、ちょっとだけのぞいてみて下さい。難しいテーマだからこそ、スルッと入り込めるような仕掛けがたくさんあるのです。
●主人公と一緒に、ちょっとずつ理解していけるストーリー
第2話の主人公は、進行した肺がんと診断されたばかりの60代主婦・佐々木かなこさん(架空の人物)。いきなり「がん」と言われて頭は真っ白。主治医のお話は右から左へ通過してしまうし、インターネットの「がんに効く」という情報に、ついつい目を奪われてしまう……。
これって、がん患者さんの「あるある」ですよね。
「これでいいの!?」と気付いた主人公は、娘とともに、もう一度主治医の話を聞きに行きます。患者会にも参加して不安な気持ちを整えながら、治療のことを一つひとつ学んでいく……というのが、今回のお話。
何も知らなかった主人公と一緒に、ちょっとずつ理解していけるのが魅力です。
●実は、脚本担当も“知識ゼロ”だった!
第2話の脚本を担当した森川翠さんも「がんは、未知の世界だった」と言います。「がんについては、知識ゼロ。抗がん剤も、1種類しかないものと思っていました」。
だからこそ「難しいテーマでも、初めての人が理解できるように」を心がけていたそうです。長谷川さんからは、「分からないこその“疑問”を大事にした方がいい」とアドバイスをもらいました。
そして、がんに関するさまざまな資料や、がん患者さんの不安についての本を読みあさり、知識を深めていったのですが……。
「本を読むうち、つらい気持ちになることもあった」という森川さん。実は、森川さんのお父さんは、難病にかかり、昨年亡くなったそう。
「第2話に限ったことではありませんが、がんを宣告された人が自分の置かれた状況を思い、『死んでしまうかも』という恐怖に気持ちが揺れ動く様子が、当時の父もそうだったのかなと思い返してしまいました」。
しかし、だからこそ今回のマンガ動画の仕事自体が、「何かの縁なのでは」と、思いもしたと言います。
第2話では、がん治療の知識だけでなく、不安になったり、がんばろうと思ったりと、行ったり来たりする主人公の心の揺れも表されています。作り手の、いろんな気持ちがありながら完成したマンガ動画なのだなぁと、森川さんのお話を聞きながら感慨深くなりました。
第2話『肺がんの治療ってどう決めるの?〜遺伝子検査編〜』
文:木口マリ
(共同制作ノバルティスファーマ社)

【制作スタッフは見た!】マンガ動画・制作ウラ話 #5
〜いろいろアツい制作現場! 「戦隊モノ」のワケ〜
こんにちは。マンガ動画制作スタッフの木口マリ(子宮頸がん経験者/肺がん患者家族)です。
肺がんマンガ動画シリーズ第2話は、『肺がんの治療ってどう決めるの?〜遺伝子検査編〜』。
遺伝子って、最近ニュースでもよく目にしますよね。でも、がん治療における「遺伝子検査」や「遺伝子治療」って、何だかわかりますか?
がんの治療法は、どんどん進歩しています。
それはありがたい限りだけれど、学ぼうにも意味不明な用語だらけで、拒否反応を起こしてしまう……というのは、私だけではないはず!!
●そこでスタッフは考えた! 「よし、戦隊モノだっ!!」
「文字だらけのマンガにはしたくないよね」
それが、最初のスタッフミーティングで出た意見。これまで、そんな医療マンガをちょこちょこ見てきて、「こんなの面白くない」と思っていました。
「今、何も分からないでいる人が楽しんで見ることができて、なおかつ、正しい知識を得ることができるようなマンガ動画にしたい……」
う〜ん、う〜ん。
頭を悩ませるなかで出てきたのが「擬人化したらいいのでは!?」というアイデア。
たしかにそれなら取っ付きやすいし、難しい話も面白くなりそう。
「よし、戦隊モノだっ!!」
子供のころ、だれもが一度は目にしたことのある「○○レンジャー」のたぐい。
そんな懐かしさもあって、親しみを持ってもらえそうな気がしました。
●レンジャーとして登場したのは、それぞれの「ドライバー遺伝子担当」のみなさん!
今をときめく肺がん治療薬の一つ、「分子標的薬」。
そのキーとなるのは、ALK(アルク)やら、 BRAF(ビーラフ)やら、ROS1(ロスワン)やらと名付けられた「ドライバー遺伝子」です。
ドライバー遺伝子によって、どの分子標的薬が適合するかが決まります。そのお薬を戦隊になぞらえることで、「なるほど、こんな感じか」と、大まかなイメージをつかんでもらえるのではと思いました。
●リアルでもアツい! セリフ一つにも議論の日々
しかし、さすがに現実にあるお薬や治療のお話。制作は、一筋縄ではいきませんでした。
第2話の全体を通して、医療監修の澤 祥幸先生(岐阜市民病院 がん診療局長)や、共同制作のノバルティスファーマのみなさんと議論を交わす日々。
「この表現は的確ではないのでは」
「ココは間違って理解されそうだから変更しよう」
などなど、表現やセリフの一つひとつに至るまで話し合っていきました。
登場人物のレンジャーたちだけでなく、制作現場も結構アツかったマンガ動画第2話。その分、見応えも十分なお話になったのではと思います!
第2話『肺がんの治療ってどう決めるの?〜遺伝子検査編〜』
文:木口マリ
(共同制作ノバルティスファーマ社)
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【制作スタッフは見た!】マンガ動画・制作ウラ話 #6
〜不安の解消も大事! 患者会シーン〜
こんにちは。マンガ動画制作スタッフの木口マリ(子宮頸がん経験者/肺がん患者家族)です。
肺がんマンガ動画シリーズ第2話は、『肺がんの治療ってどう決めるの?〜遺伝子検査編〜』。治療をどう選んでいくのか、遺伝子検査って何なのかがテーマです。
でも、今回のお話に登場するのは、「知識」の部分だけではありません。「気持ち」に対処するためのポイントも盛り込まれているのが、スゴいところなんです。
●ココが気になる! 本音や不安を語り合える「患者会」
がんの治療で大切なのは、正しい知識を得ること。
でも、気持ちとしては、「薬の副作用に、自分は耐えられるのか」とか「吐き気や脱毛が怖い」とか、モヤモヤと湧き出す不安にどう向き合えばいいのかが気になる人も多いのではないでしょうか。
そんな、“説明書では知りようがない一面”は、経験した人にしか語れないもの。それを共有し合えるのが「患者会」!!
第2話の主人公・佐々木かなこさんも、自分が受けるかもしれない治療に不安を覚えます。
そして訪れたのが、肺がんの患者会が主催する、オンラインの「おしゃべり会」。患者同士が本音を語り合える場です。
かなこさんは、先輩患者の話を聞き、自分の不安を打ち明けることで、医師から聞く“知識”とは違う視点の学びを得ます。
もちろん、不安がすべてなくなるわけではありません。でも、「前に進める気がする」と感じられたのは、治療をしながら生活をしていくうえでの道筋が、少し見えたからなのでしょう。
かなこさんが参加したおしゃべり会で、どんなお話が聞けたのか。マンガ動画第2話で見てみてくださいね! そして、みなさんも一度、患者会を訪れてみてはいかがでしょうか。
●第2話『肺がんの治療ってどう決めるの?〜遺伝子検査編〜』
文:木口マリ
(共同制作ノバルティスファーマ社)



